広告関連法務

不正な広告に対する取締りの強化と社会の意識の向上

近年、食品表示偽装問題や消費者の誤認を招くキャンペーン広告の問題をはじめ、企業の不当表示事案が多発していることを受け、2014年には二度にわたり景品表示法の改正が行われました。この改正により、事業者が講ずべき必要な措置が定められた他、消費者庁による監督指導体制の強化が図られました。
違反した事業者に対する課徴金制度が導入され(2016年施行)、これにより、企業としては、不正表示等に対しては、消費者庁による調査対応、課徴金の制裁等の各種のリスクに目を向ける必要が生じています。
また、不正表示を許さないとする社会の意識も高まっており、マスメディアも非常に強い関心を寄せています。

不正表示が一旦起こってしまうと、厳しい追及がなされ、消費者の信用を大きく失い、企業自体が存続の危機にさらされる場合があるといっても過言ではありません。
実際に、2002年に発生した雪印食品による牛肉偽装事件では、マスメディアや消費者による厳しい指弾により雪印食品は解散に追い込まれ、2016年の発生した三菱自動車による燃費試験データ改ざん事件により、消費者庁から措置命令と課徴金納付命令を受け、ブランドと信用の回復を図るために、日産自動車の傘下に入りました。

このように、不正表示等に対しては、規制当局の取締り強化の姿勢とこれを許さないとする社会の意識が明確になっており、景品表示法は、消費者に向けてビジネスを行う企業にとって、ますます重要な法律の一つとなっています。
表示のみならず、景品類の規制に対しても不正表示と同様の厳しい対処がされるため、注意が必要です。

景表法コンプライアンス体制の構築

消費者庁は、事業者に対し、広告等における表示等の管理上の措置として、その規模や業態、取り扱う商品または役務の内容等に応じ、必要かつ適切な範囲で、次に示す事項に沿うような具体的な措置を講ずる必要があるとしています。


  • 1 景品表示法の考え方の周知・啓発
  • 2 法令遵守の方針等の明確化
  • 3 表示等に関する情報の確認
  • 4 表示等に関する情報の共有
  • 5 表示等を管理するための担当者等を定めること
  • 6 表示等の根拠となる情報を事後的に確認するために必要な措置を採ること
  • 7 不当な表示等が明らかになった場合における迅速かつ適切な対応

上記措置の具体例としては、定期的な社内セミナーの実施、広告案を景表法の見地からどのような手順・方法でチェックするかのマニュアル(景表法の責任者や保管期間などの定めも含む)の作成などが挙げられます。
広告規制への対策を考えていないという企業は、早期に社内研修やコンプライアンスの見直し等の施策を実施することをおすすめします。

対応可能な業務

  • 景品表示法、特定商取引法、医薬品医療機器等法、健康増進法、食品衛生法等の広告規制の観点からの広告のチェック
  • 景表法コンプライアンス体制の構築
  • 規制当局からの行政指導、措置命令、課徴金納付命令等への対応

景表法コンプライアンス対応の顧問弁護士サービスのご案内

景表法コンプライアンスの確保のためには、単にマニュアルを作成するだけでなく、日々の運用が重要です。
当事務所と顧問契約を締結していただくことにより、当事務所を景表法コンプライアンス体制に組み込むことができます。それにより、日常的に、広告案の法令適合性をチェックする体制を構築することができます。また、定期的な社内セミナーの講師も担当可能です。

広告以外の法律相談(労働問題や知的財産など)についても対応可能です。詳細は、顧問契約に関するページをご覧ください。